最も簡単な定款変更の方法|行政手続きガイド

定款の記載内容に変更が生じた場合、株主総会の特別決議を行った上で、変更内容に応じて変更登記をする必要があります。

「具体的にどんな出来事があったら、変更の手続きをやらなければいけないの?」
「株主総会の特別決議、一番簡単な方法で済ませたいんだけど、どうしたら良いの?」
「変更登記申請には、必要な書類は、どうやって作れば良いの?」

この記事は、このような疑問をお持ちの方に向けて書いています。

まず、定款変更や変更登記申請が必要となるケースについて全体像をお示しした上で、なるべく簡便に定款変更・登記申請の手続きを済ませる方法についてご案内いたします。

1. 定款変更、変更登記申請が必要なケース

定款変更・変更登記申請が必要な場合

定款には、必ず記載する「絶対的記載事項」、必要に応じて記載する「相対的記載事項」の他、個々の会社の判断で自由な内容を記載することが出来ます。
そして、記載内容が必須事項であるかに関わらず、ひとたび定款に記載をしたら、然るべき手続きを取らない限り変更や削除は出来なくなります。

上記の図は、会社法で定められた定款記載事項の他、一般によく記載されることがある記載事項をとりまとめております。
赤字で記載している以下の項目に変更が生じた場合は、定款変更とあわせて変更登記申請も行う必要があります。

定款変更とあわせて変更登記申請が必要な事項

  • 事業の目的
  • 商号
  • 本店所在地
  • 発行可能株式総数
  • 株式に関すること
    • 譲渡制限に関する定め
    • 株券発行の定め
  • 期間設計に関すること
    • 取締役会の設置
    • 監査役の設置
  • 公告方法

2. 定款変更の手続き

定款を変更する場合、株主総会の特別決議(株主の過半数の出席、2/3以上の賛成)が必要となります。
株主総会を開催するためには、通常は取締役会で決定した上で、開催の2週間前までに株主全員に招集通知を発送しなければなりません。

しかし、このような手続きは、少数の株主で構成される中小企業や非公開会社では、あまりに煩雑です。
こちらの記事では、「みなし株主総会」という仕組みを活用して、簡便に株主総会を実施する方法をご紹介します。

みなし株主総会による株主総会実施方法

全ての議決権のある株主が、株主総会で決議する事項について賛成・同意する場合、「みなし株主総会」という仕組みを使い電子メールで株主総会を有効に成立させることが出来ます。
異議を唱える株主のいない中小企業や非公開会社であれば、この方法を採用することが最も簡便です。

  • STEP.1
    電子メール本文に議案を記載し提案する
    以下のような文言で、株主全員に対して議案の提案を行います。

    =====以下メール文面例=====

    株主各位

    当社は、下記の各事項につき株主総会の目的事項として提案します。
    本提案について同意をして頂ける場合には、その旨をメールにて返信いただけますようお願い申し上げます。
    なお、本提案について全ての株主の同意が得られた場合、会社法関連規定に基づき、株主総会の決議及び株主総会への報告があったものとみなされます。

    <決議事項>
    1. 定款変更の件
    定款第2条(目的)を次の通りに変更する。

    第2条(目的)
    当社は、次の事業を営むことを目的とする。
    1. ○○の製造販売
    2. 古物営業法に基づく古物営業
    3. 前各号に附帯する一切の事業

    以上
    代表取締役 田中 太郎

  • STEP.2
    株主全員から同意する旨の返信を電子メールで貰う
    インターネット上には、みなし株主総会のための「提案書・同意書」の雛形が用意されていますが、PDFファイルを印刷した上で署名し、再度PDF化して返信するといった手間は煩雑です。
    簡便に済ませる場合には、「同意します」の返信を貰うようにしましょう。
    口頭での同意は認められていません。(注)

    =====メール文面例=====
    田中さん

    同意します。

    鈴木

この方法は、1人でも議案に反対する株主がいる場合は使うことが出来ませんので、ご注意ください。

(注) 会社法第319条1項は、「取締役又は株主が株主総会の目的である事項について提案をした場合において、当該提案につき株主…の全員が書面又は電磁的記録により同意の意思表示をしたときは、当該提案を可決する旨の株主総会の決議があったものとみなす。」と定めており、明示的に「電磁的記録」による提案・同意を認めています。電子メールは、この「電磁的記録」にあたります。実際に、上場企業でも子会社の株主総会決議等で日々メールによる決議方法が採られています。

ひとり株主総会の実施方法

株主が1人しかいない株主総会の場合は、さらに簡便で、株主総会議事録を作成し、保管しておく方法で問題ありません。

3. 変更登記申請の手続き

変更登記を行う際の申請書と添付書類は、法務局のホームページからご確認いただくことが出来ます。
定款変更を伴う登記申請では、かならず「株主総会議事録」と「株主リスト」を添付書類として求められます。

みなし株主総会で決議を行った場合も、別途株主総会議事録は作成する必要があります。

株主総会議事録には以下のような内容を記載する必要があります。

  1. 株主総会の決議があったものとみなされた事項の内容
  2. 提案をした者の名前
  3. 株主総会の決議があったものとみなされた日
  4. 議事録の作成に係る職務を行った取締役の氏名

上記を踏まえ、株主総会議事録と株主リストは、こちらの記載例を参考に作成いただければと思います。

みなし株主総会 議事録サンプル

株主リストは法務省にてフォーマットが公開されております。

まとめ

定款を変更するためには、株主総会の特別決議が必要となります。
通常、株主総会の実施には、招集手続きや会場の準備などの手間がかかりますが、煩雑です。
少数の株主で構成される中小企業や非公開会社であれば、株主全員の同意を条件に、電子メール上で行う「みなし株主総会」という方法を採ることが出来ます。

みなし株主総会で決議を取る場合でも、登記申請の添付書類として「株主総会議事録」「株主リスト」を作成する必要があります。

電子メールの文面や株主総会議事録の文面を作成することは、法的に気を使う部分であるかと思いますので、専門家のサポートを借りるのも良いでしょう。
ご自身で準備される場合は、こちらの記事をマニュアルとしてお役立ていただければ幸いです。